【書評】ITの仕事って何するの?ITの業界研究本を読んで
みなさん、ITと聞いてどんなものを想像するでしょうか?
最近よく聞くけどどんなものかわからない。
難しそう。
プログラミングをやるんでしょ。
自分もこの『世界一わかりやすい IT業界の仕組みと流れ』を読むまでは、ITがどんなものか全くわかりませんでした。
しかし、この本を読んだ後は、だいたいの「IT業界ってこういうかんじ!」という感覚をつかむことができました。
今回は『世界一わかりやすいIT業界の仕組みと流れ』を読んで、要約と考えたことを超簡単に紹介したいと思います。
この本を読んでわかること
- ITの仕事ってそもそもどんなことをやるの?
- ITの仕事の流れは?
- IT事業の今後の展望は?
もくじ
IT業界の基礎知識
IT事業のおもな仕事は、顧客に業務システムというものを売ることです。
業務システムとは、企業内でこれまで人が行ってきた仕事をサポート・代替するソフトウェアです。
例えば、銀行の入出金管理、株式の取引、お店の在庫管理、工場の生産管理、オフィスの業務管理、電話の通信管理、鉄道の運行管理…
このような業務を実行するシステムを開発し、提供するのがIT事業者の仕事です。
ITが身の回りのあらゆるところに活用されるようになった結果、IT事業者は社会のインフラを支える重要な存在となっています。
IT事業では、企業がシステムをIT事業者に発注し、IT事業者がシステムを作ってその企業に納品する受託開発と、IT事業者がシステムやソフトをつくって売る自社開発があります。日本では受託開発が売り上げの4分の3を占めています。
IT事業の仕事の流れ
システム開発とその後の流れを超かんたんにピックアップしてまとめます。
- システムの提案・見積もり
- 要件定義
- 設計
- プログラミング
- テスト
- 導入
- 運用管理
システムの提案・見積もり
システムの提案とは、ユーザー企業の業務をシステムによって代替させるための計画をたて、提案することです。IT事業者が営業をして売り込むこともあれば、ユーザー企業担当者からのリクエストに基づいて提案することもあります。その際、システム化の予算を見積もって提示しなくてはなりません。この見積もりは要件定義(次の項目)の前段階で行われるため、甘くなる傾向があります。余分にかかった工程について追加予算の請求は難しいため、見積もりの精度は特に重要になっています。
要件定義
要件定義とは、ユーザー企業がどんな仕事をシステムにやらせたいかをはっきりさせる行程です。企業側と打ち合わせをして、システム開発の予算や期限などを確認しながら、システム化によってどんなことを実現したいかを明確にします。
設計
システム開発における設計とは、要件定義で確認したシステム化要件をシステムの仕様に落とし込む作業です。システムにどのような機能を持たせ、何を結果として表示し、データをどのように扱うか、などを決めます。
プログラミング
何らかのプログラミング言語でコードを書き、これによってシステムが動作します。
テスト
システムに問題がないかテストします。通常の流れでは、
- 単体テスト 個々のプログラムを検証
- 結合テスト 単体テストに通ったプログラム同士を組み合わせたユニットを検証
- システムテスト 結合テストに通ったすべてのプログラムと、データベース、ハードウェア、ネットワークを組み合わせた、本番同様の環境でシステムを検証
- 受入テスト システムテストに通ったシステムをユーザー企業側の担当者が使ってみて、要件が満たされているか確認
の順番で行われます。
導入
以上のテストをクリアすると、システムをマニュアル、仕様書とともに納品して、開発プロジェクトは終了です。マニュアルは、システムにあまり詳しくない業務担当者も利用するため、わかりやすく作成することが重要で、満足度の向上につながります。
運用管理
不具合の修正や、システムの機能の追加・変更・削除などほか、ユーザー企業からの質問の対応、システムの不正使用や情報漏洩の防止、システムの維持費の管理なども含みます。システムを納品して「はい、おしまい」ではなく、その後もずっと開発したシステムと付き合っていくことになります。
IT業界の職種
主な職種について紹介します。
【開発・運用系】
↓
キャリアを積むと…
- PM(プロジェクトマネージャー) システム開発の計画、実行、管理
- ITコンサルタント システムを利用した業務改革、教務課以前、事業展開を提案
- インフラエンジニア 最適なシステムの構築・運用・改善計画を立てる
- スペシャリスト 専門技術や技術製品の研究・開発
【営業系】
キャリアを積むと…
IT業界のこれから
ITに関する新しいトピックをいくつか紹介します。
オフショア開発
海外の人件費の安い国でシステム開発を行うことです。日本では現在IT人材が不足しており、開発コストの抑制と人員確保の目的で行われます。日本のオフショア先は中国、インド、ベトナムなどが主です。しかし、日本企業が不十分な設計書や仕様書で委託し、そのまま開発を進めてしまいプロジェクトが失敗する例が多いようです。この問題を改善するため、システムと外国語の両方がわかる、橋渡し役のブリッジSEの人材育成が進められています。
スマホ連携
業務システムとスマートフォンの連携に対するニーズが高まっています。セキュリティ確保の仕組みのほか、スマホ・タブレット向けのアプリ開発では業務システムの開発とは異なる開発スキルが求められます。
組み込みソフトウェア
自動車やプリンターなどの家電に組み込まれて特定の機能を実現する組み込みソフトウェアの市場が拡大しています。メガネ型や腕時計型などのさまざまなウェアラブル端末における活用も始まっており、今後もニーズが拡大すると思われます。
『世界一わかりやすい IT業界の仕組みと流れ』のポイント
- IT事業の主な業務は、システムの開発・運用である。
- システム開発は、提案・見積もり→要件定義→設計→プログラミング→テスト→導入の流れで行われる。
- ITの職種には、システム開発・運用・営業にかかわる様々な仕事がある。
- いくつかの新しいIT技術のニーズが高まっている。
まとめ・感想
ITと聞いても何もわかりませんでしたが、この本を読んで、IT業界についておおまかに説明できるようになりました。
個人的に、オフショアのところでブリッジSEの話が出てきましたが、IT業界で外国語の需要があるというのは新しい発見でした。自分は文系大学生なので、外国語学習のモチベーションになりました!
今後はさらに、インターネットの知識をつけるために様々な書籍を読んでいきたいです。
この『世界一わかりやすい IT業界の仕組みと流れ』ですが、正直なにも知識がない状態で読むのはしんどかったです。この文章には書ききれませんでしたが、専門用語やアルファベットの略語がたくさん出てきて、読み進めるのが大変でした。しかも、最後の用語解説も十分でなく、(全部の用語をカバーするのは不可能なのでしょうが)ネットで検索したほうが分かりやすい場所もありました。ただ、2回目に読み直すと流れがある程度は理解できるようになり、また情報が網羅されているので、読む価値はありました。2015年の発行なので、2021年現在の最新の情報がどうなっているかも気になりますね!
閲覧ありがとうございました。それではまた。